高輪という場所にある“記憶”と“未来”

ゆる散

高輪ゲートウェイ駅は、2020年に開業したJRの駅です。まだ工事中のエリアも多く、駅前に広がる「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、まさに“これから始まるまち”という印象でした。

でも、実はこの場所、かつては江戸に入る東海道の玄関口だったそうです。歴史ある「高輪大木戸跡」がすぐ近くにあり、このあたりは、江戸時代の人々が最初に足を踏み入れた“東京の入り口”でした。駅名の「ゲートウェイ(玄関口)」には、そんな過去へのリスペクトが込められているのだそうです。

また、明治時代には、日本で初めて鉄道が敷かれた新橋〜横浜間の一部が、この高輪の地を通っていました。しかもその線路は、海の上に築かれた「高輪築堤」の上を走っていたとのこと。当時としては非常に画期的で、なぜ海上に線路を通したのかは、今もはっきりとわかっていないそうです。どこかミステリアスで、想像力をかき立てられます。

そんな歴史的背景を継承しつつ、現在は「100年先の心豊かなくらしのための実験場」として、AIや自動走行モビリティ、そして“空飛ぶクルマ”の実証など、最先端の未来技術が息づく場に。遠い未来の話だと思っていたことが、目の前で静かに動き出しているような感覚でした。

今ここにいるからこそ見られる“未来の途中駅”。その過程に立ち会えることに、小さな喜びと、少しのときめきを感じました。

駅構内にも未来とやすらぎが同居する ― 高輪ゲートウェイ駅

駅に着いてまず目に飛び込んでくるのは、開放感のあるガラス張りの空間と、折り紙をモチーフにした屋根のデザイン。どこか日本らしさを感じさせながら、未来の駅の風景を静かに描いているようです。

構内には「芝生エリア」があり、子どもたちが裸足で遊んでいたり、ご家族が座ってくつろいでいたりと、屋内でありながら公園のような時間が流れていました。天候に左右されず、のびのびと過ごせる場所があるというのは、とてもありがたいことですね。

そのすぐそばには、誰でも自由に演奏できるストリートピアノが設置されていて、偶然出会った親子が一緒にメロディを奏でている様子は、まるで一つの小さな物語のようでした。

そして、無人のコンビニやAI案内ロボットなども導入されており、“駅で過ごす時間そのもの”が、ちょっとした冒険や発見になるような仕掛けがちりばめられています。

この駅が掲げる「エキナカエンターテインメント」というコンセプトは、単なる利便性を超えた、駅という場所の新しい役割を感じさせてくれました。

駅を出ると、未来が広がっていた ― 駅前広場とアート、そしてモビリティ

改札を出ると目の前に現れるのは、カラフルなアートインスタレーション「100色の道」。アーティストのエマニュエル・ムホー氏によるこの作品は、100年の時間の流れを100色で表現したものだそうです。

その足元には、水の音が心地よい噴水。子どもたちが水のアーチをくぐって遊んでいる姿がとても印象的でした。ここが都心の駅前だということを、ふと忘れてしまいそうになります。

そしてもう一つ目を引くのが、自動運転のモビリティ。小さな車体に乗った人たちがゆっくりと移動していく様子に、「未来の移動」のリアルな姿を感じました。残念ながら今回は写真におさめることができませんでしたが、駅前の新しい景色として、記憶に残る体験になりました。

目の前に広がるのはニュウマン高輪。現在は全館オープン前ですが、South 2Fの「ブルーボトルコーヒー」や、North 2Fの「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン」など、一足先にスタートしているスポットもあります。

小さなごほうびと、憧れのスターバックス体験

駅に着いたとき、少し小腹が空いていたので、まずは「MAISON CLASSIC FACTORY」のシュークリームをひとつ。
手のひらサイズの可愛らしいフォルム。サクッとしたクッキー生地の食感と、ほどよい甘さのクリームにほっとひと息。
外のベンチに腰かけていただくスイーツは、それだけでちょっとした旅のご褒美のようでした。

そして、今回の本当の目的はもうひとつ。
開業当初からずっと気になっていた、スターバックス高輪ゲートウェイ店へ。

全面ガラス張りの外観が印象的なこちらのお店は、まるで未来の駅にあるギャラリーのよう。
光をたっぷりと取り込む高天井とガラスファサードが、店内にやわらかな明るさをもたらしていて、時間がゆったり流れていくのを感じます。

いくつかのタイプの席がありますが、今回座ったのは憧れていた「室内テラス席」。
雨や風の心配がいらない屋内でありながら、空を感じられる特別な空間です。
巨大な白い膜屋根を通して注がれる自然光が、やさしく席を照らし、居心地のよさを際立たせてくれます。

目の前には、芝生エリアでくつろぐ人たちの姿や、山手線・京浜東北線のホームを一望する眺め。
都会にいながら、どこか旅先のような非日常を感じさせる景色でした。


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